神奈川県議会議員 鈴木ひでし 鶴見区選出 公明党

自然との共存の難しさ

先日、今までの人生で経験の無い出来事に遭遇した。神奈川県議会議員として衆議院16区の応援のために厚木市内を廻り、七沢地区で昼食を取り、あまりの自然の美しさ10分ほどの散策を行った。いざ車に乗り込もうとキーを捜しにズボンのポケットに手を入れてキーを取り出した時、右手の中指と薬指に黒いものが付着している。右手を振って払おうとしてもとれないため焦って、その物体に手を触れた途端に、その物がヤマヒルであることが分かった。私の血を十分に吸ったのか大きく体が膨れていたが、少しつまんだぐらいで果てから離れない。やっとの思いでヤマヒルを投げ捨てた時は手の指の間から大量の血が流れた。
ヤマヒルはミミズ類などと同じ環形動物で体長は1.5センチから8センチ程度。山中に棲息してシカなどの血液を吸い、その際「ヒルジン」と呼ばれる血液の凝固を抑制する物質を出すため、吸われているとしばらく出血が止まらない。県内の生息地域は秦野市、伊勢原市、厚木市相模原市津久井町、愛川町、城山町、清川村などだが、神奈川県内でのヤマヒルの被害は深刻な問題になっている。

思えば初夏の頃に県議会各派の代表で構成された「やまなみクラブ」で東丹沢の堂平を視察したときに、ヤマヒル被害に逢わないために靴や靴下に防虫スプレーや塩をこれでもかというくらいに塗った記憶が蘇った。当日は運よくヤマヒルに遭遇しなかったが、数ヶ月経ったこの日にめでたく遭遇するとは…。
折しも、先週は神奈川県の水源林、寄(やどりぎ)に間伐、枝打ちのボランティアにでかけた。先日来、この地域での熊の出没が新聞の記事になり、山道に出発する際、作業参加者の代表に熊除けのスズを渡され、作業値に向かう山道にスズの音が響き渡っていた。
作業の翌日の神奈川新聞には水源林の門に「熊注意」の看板が掲げられた写真が掲載され、ボランティアに参加した方々から、「本当に危なかったんだね」等の電話を頂戴した。ヤマヒルと熊の出没、大山丹沢の鹿被害も然り。私がこの1週間に体験した出来事は、「人間と森、森と動物、人間と動物、今ほど自然との共存または自然と人間とのあり方を考えろ!」との森と動物の叫びのような気がしてならない。生きとし生けるもの、すべてが生きることに精一杯だ。だが故に共存などという甘い言葉では済まされない!食うか食われるかだ!という考えもあろう。しかし、人間が自然に手を入れた時から今日の事態は予測されるべきであった。過日、県の自然環境センターのスタッフから丹沢大山の再生プロジェクトのプレゼンテーションを受けた。国、県が少しでも自然に目を向け、何とかしなければという思いがプレゼンテーターに溢れていた。その情熱がせめてもの現状に対する救いなのか?自然との共存、考えても考えても難しい課題である。

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