神奈川県議会議員 鈴木ひでし 鶴見区選出 公明党

食料を考える

中国餃子の問題が起こってから、あれよあれよと言う間に日本の食の安全保障の問題にまで発展してしまった。この問題が起こるまでは、日本人の大半が、日本の食糧が危機に瀕していることは、うすうす分かっていたとしても、それほど実感がわかなかったというのが事実であろう。
同時に小麦3.3倍、とうもろこし2.5倍、大豆2.5倍と世界中で穀物が高騰しており、この暴騰が食パン、即席めん、みそ等、これまで20年近く価格が安定していた食品が次々と値上げされ、食品関連企業の実に99.8%が原材料費アップに悩み、そのしわ寄せは家計を直撃している。また、原油高によりとトウモロコシがバイオ燃料に回され穀物価格が高騰しており、食糧なのか、はたまた自動車燃料なのかを選択せねばならない事態が起こることを覚悟せねばなるまい。
日本の食糧自給率は40%と先進国の中で最も低い。そのうえ、穀物は3割以下で、米以外は大半が輸入に頼らざるをえない。くしくも日本では餃子事件以来、自宅で餃子を作る家庭が増えているそうだ。デパートでは、しゃれた弁当箱が売れているそうである。また、手弁当と言う昔懐かしい言葉が蘇りそうだ。このように食の事を本当に考えなければならないという雰囲気が日本を包むということはいいことだと思う。しかし、餃子事件で輸入食品の危険性を感じ、日本の食糧自給率あげなければとの声をよく聞くが、現実に中国や他国にこれまで食を頼りきっていた実情は、そう簡単には変えられないのではないか。コメでさえ過去から現在に至るまで政治主導で減反政策を続けてきた国が、農家の高齢化が進み休耕地が国のあちこちに見られる状態で何ができるというのかという事だ。この食料自給率問題も一過性のものでなければと祈る。この自給率問題と共に考えなければならない問題として、食糧の破棄がある。おびただしい数のコンビニ弁当が捨てられ、家庭の食卓でも残飯の出る事態をどうしていくのか。ある意味で日本は世界一地産消費ができていない国である。エネルギーや資材や食料を遠くから輸入することでエネルギーを無駄にしている現実をどうするのかを早急に考えることが第一であると思う。
将来、人間が生きるための食糧をめぐっての争奪戦が世界を覆うとしたらどうだろう
考えただけで身の毛がよだつ。その予兆ではないが、現在この食料を自国から輸出することを禁ずる国が世界に現れ始めた。ロシア、中国、インド等々である。これらの国は自国の人口からみた食糧戦略というものを持っての決断であろう。世界で飢餓に苦しむ人々が8億人いるという現実から考えれば、その戦略も納得いくものともいえる。
この国が、安い食料を海外からふんだんに買い付け、それを消費し余れば破棄するという飽食の時代に終わりを告げなくてはなるまい。そのせいか、最近のニラ、たまねぎ、長ネギ等々、国産品の価格が高騰しているそうだ。「安全」がただで買えた国が、お金を出しても買えないものがあることを知る好い機会かもしれない。将来の日本の食糧事情のためにも…。

平成20年3月1日

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