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食料を考える -後編-

3月に「食料を考える」を書いてから、このコラムについて数人の方から食品の表示についての取り組みをもっとしなければならない、との助言をいただいた。日常の活動の忙しさにかまけ、そのことを忘れていたが、4月6日の読売新聞に「食品表示 取り残される日本」という記事が載っており、改めて食品の表示について、政治家として目を向けていかなければと思った。
その記事によれば、機関誌「食品と暮らしの安全」編集長の小若順一さんが昨年暮れに韓国を訪れて韓国のインスタントラーメンの表示の違いに驚いたそうだ。日本の表示は「油揚げ麺(小麦、でん粉、食物油脂、食塩)とあるのに対し韓国の表示は「めん/小麦粉(アメリカ産)、パーム油(マレーシア産)、ジャガイモでん粉、酢酸でん粉、卵殻カルシウム、精製塩、麺類添加アルカリ剤、酸度調整剤…」との表示で、圧倒的に韓国の表示が詳しかったそうで、調味料などを含め表示されていた原材料の品目数は、日本の24に対して韓国は45だったそうである。
小若さんは「複数の食品添加物を使っても、日本では”調味料””酸味料”などと一括して丸め、省略できる。中身が見えにくい仕組みになっていると」と指摘している。同紙はまた別の例として、ある食品コンサルタントが「海外では表示に関する制度を見直して整備している。日本の加工食品表示は、今や一番遅れつつある」と語り、具体的には「ハムを例に取りEU(欧州連合)圏内では。2000年から「QUID(定量的原材料表示)」を導入して肉や魚介類、乳製品などの加工食品は、特徴的材料の割合を表示品しなければならなくなっており、ハムには、肉の割合や水分量(5%以上場合)が表示される。しかし日本では重量の多い順に原材料表記決まりはあるが、水分はふくまれず、肉の割合もわからない。日本農林規格(JAS)では特級、上級ハムでは、赤身中の水分含有量が72%となっているがJASマークがついていないハムは規定がない。これは水で重量を増やしていたとしても私たち消費者には分からないということである」と述べている。

考えてみれば、JASマークがついているハムとそうでないハムとの違いを見つける消費者が日本にはどれだけいるであろう?日本の栄養表示は即席めんなど公正競争規約で表示が求められる一部の食品を除けば基本的に「任意表示」であることなどを見ても、これからは、食品一つ一つを自身で見極めなければならないということだ。
食品偽装事件からこのコラムを書いているが、「すべてお上の力により守られる」という時代の典型的なことば「水と安全はタダ」と言う時代が終わりを告げたことを表すものとしてこの食品表示と言う事柄あると思う。すなわち、誰かが決めるのではなく、一人ひとりが自身の生活に自身で責任を持つ時代を迎えてというべきであろう。同時に、私たちが過去の学校生活の中で、学ばなかった(教えられなかったというのが正解かもしれない)お金の仕組みとお金にまつわる自己責任(連帯保証など)や食品の安全性などという事象が、今の日本の問題点になっているように思えてならない。国が認めたのだから、安全な機関がチェックしたのだからではなく、自ら学び決断を下す、そんな時代が駆け足で日本に近づいてきた、いや到来したのかもしれない。

平成20年4月6日

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