神奈川県議会議員 鈴木ひでし 鶴見区選出 公明党

今期の2月定例会ほど、長く感じた議会は無かったと思う。

2月16日から始まったこの定例会は、3月24日、総額1兆5648億円の新年度一般会計予算案など45議案を可決し閉会をした。中でも、この1年関わってきた厚生常任委員会での「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」は全国初の成立となった。同時に「自治基本条例」「犯罪被害者等支援条例」そして「県立6病院を一括して地方独立行政法人化する議案」も可決された。

中でも自治基本条例とは何か。確立した定義はないし、法律などで制定することを義務付けられたものではありません。いくつかの市町村において「まちづくり基本条例」や「自治基本条例」などの名前で、様々な内容の条例が制定されているように、自治体ごとに多様な自治基本条例がありますが、一般的には「自治体運営の全般にわたって、その基本となる理念や原則等を定める条例」とされている。

「犯罪被害者等支援条例」は、犯罪被害者等支援について、基本理念を定め、並びに県、県民、事業者及び民間支援団体の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等支援の基本となる事項を定め、犯罪被害者等支援施策を総合的かつ計画的に推進することにより、犯罪被害者等の受けた被害の早期の回復及び軽減を図るとともに、犯罪被害者等を支える地域社会の形成の促進を図り、もって安心して暮らすことができる県民生活の実現に寄与することを目的とするもの。

一方、大規模事業大規模開発などに、温暖化対策計画書の作成や提出を義務付ける「地球温暖化対策推進条例」は、国にも類似施策である国の法改正や横浜市の条例改正の動きがあり、県と条例との整合性について議会からの声があがり継続案件に。同じく「在宅障害者手当ての条例改正」については、手当削減で生み出される財源をどう活用していくのかの具体策が見えない等の意見があがり継続審査となった。

一年間付き合った受動喫煙防止条例は3月16日に自民・公明・県政の各会派の合意の下、知事案に対する修正案という形で記者会見を行なった。しかし、松沢知事は、この修正案に対し「骨抜きになる」との構えから反発、両者あい譲らずの状態となった。

3月17日午前の厚生常任委員会開会から32時間、議長の斡旋により最終案が18日午後、常任委員会での全会一致で可決した。この間、4年ぶりの徹夜議会となったが当初、完璧な物別れと見られていたが、知事と議会の歩み寄りがあり、成立にこぎつけた。

3月24日、本会議にて可決成立し、私の1年間の闘争も幕を下ろした。
(原案・3派修正案・修正案は表にて比較)PDFデータ100KB

この1年を振り返り、最後の詰めの段階で議会側が修正案を提出した意義は大きいと思う。今まで、知事の提案の良し悪し、即ち○か×という態度で臨んできた感がある議会のスタンスが、この条例で初めて議会側からの提案をおこなったという事実だ。知事側は、これでは「骨抜きになる」と徹底抗戦の構えであったが、過去にこのような議論で緊迫を見せた議会があったであろうか?

地方議会の二元制が取りざたされるが、この状態こそ、まさしく二元制のあり方そのものであると、確信したことだ。

その上で

  1. 条例が施行されるまでに1年という日程しか残っていない。実行のための混乱を生じてはなるまい
  2. 終始、罰則問題を取り上げてきた者として、県当局の「条例は違反の取締りや過料を取ることが目的ではない」と答弁してきたが、はたして現場でそのような悠長な姿勢が通るものなのかと思う。受動喫煙に神経質な方がもし喫煙禁止区域で「あそこでタバコを吸っている」という通報をした場合、直ちに対応がなされない場合、どういうことになるのか?「休日、夜間の通報には?」という私の質問に「休日・夜間に違反がつうほうされた際は最初に県の警備員」が対応するとした。本当にこんなことで済むのであろうか?
  3. 今回の条例の成立で関係飲食店やホテル等の分煙工事が必要となる。この景気の悪化の中、神奈川県にあるというだけで、本当にそのような負担を課してよいものであろうか?
  4. 日本初といわれるこの条例であるが、詳細を知らない県民はまだまでたくさんいる。この方たちに対する説明、理解をどうやってひろめていくのか?

条例が成立しても私の心の中で、未だに消えない疑問である。この視点を今後も追及しながら、受動喫煙防止のために行動しなければならないと思う。

最後に、この1年の論戦を通じて議会での論戦を、行動を県民に伝えていく難しさを痛感した。受動喫煙は良くない、しかしどのような罰則が科され、何故条例にしなければならないのか?その体制はどうなのか?質問をする度に「受動喫煙に対して反対の態度」とされるのはどういうことか!!

県民が分かりやすい情報に視点がいく、その流れを変える方法はないものか?ひょっとしたら、政治の質を高める核は、そこにあるのかもしれない。