神奈川県議会議員 鈴木ひでし 鶴見区選出 公明党

質問要旨

(1) 民間資金を活用した事業展開について

震災をきっかけに、オンライン寄附に関心を持つ人が増えたこの時期、実施したい事業をネット上で発表し、寄附を募り、自ら財源を確保する「クラウドファンディング」は、事業実施のために有効な手法と考える。本県の発展に大きなインパクトを与え、より多くの雇用確保のためにも、極力多くの寄附を集める工夫が必須である事から、寄附による施策推進の取組を一歩進めて、企業の協力が得られやすい「産業振興」など、充当目的を明確にした施策分野単位の基金を造成し、企業からも寄附を募る仕組みを検討してはどうかと考える。

民間資金を活用し、新たな施策等を展開していくことにより産業を活性化させ、雇用確保を図っていくべきである。
そこで、財政状況厳しき折、例えば、産業振興にかかわる施策に民間資金を活用していくことについてどう考えているのか所見を伺いたい。また、こうした分野でネットを通じて県民や企業から寄附や出資を集めるクラウドファンディングを活用する仕組みを構築することについて、併せて所見を伺いたい。

黒岩知事答弁

民間資金の活用について何点かお尋ねがありました。
まず、厳しい財政状況の中で、例えば、産業振興にかかる施策に民間資金を活用していくことについて、お尋ねをいただきました。
私も、本県財政が大変厳しい中で、民間がお金を出したくなるような流れを作り、産業振興を進めていくことは、大変重要と考えております。
その手法の一つとして、本県では、平成17年度に投資会社に呼びかけて、県の施策に沿った「かながわベンチャー応援ファンド」を創設しております。
この応援ファンドでは、これまでに、180件、80億円を超える投資を行い、既に、投資先の企業が株式公開を果たすなど、目に見える効果をあげています。
また、高い技術力があるものの、業績不振に陥った中小企業の再生を図るため、県が金融機関等に呼びかけて、「かながわ中小企業再生ファンド」を、昨年末に創設したところであります。

今後とも、このような民間資金を最大限活用した取組みを通じて、本県経済の活性化を図ってまいります。
次に、クラウドファンディングの活用について、お尋ねがありました。
クラウドファンディングは、インターネット上で寄附を募集し、プロジェクトを実現する方法であり、民間ベースでは、ドキュメンタリー映画における製作費の募集など、いくつかの成功例が見受けられ、ネット時代の資金集めの新手法として、注目を集めているものであります。
こうした取組みを取り入れる場合には、クレジットカードを使って寄附することが一般的であるため、税制の寄附控除への対応など、検証すべき事項がありますが、本県の取組みとして大変意義深いものと考えております。
そこで、クラウドファンディングを活用する事業には、どのようなものが考えられるのか、また、導入にあたっての有効性や実効性といった課題についても、早急に検討してまいります。

要望

私は今回の代表質問に当たって、本当に閉塞したこの国の経済、又、地方経済の中で、何を訴えていかなければいけないのかということに本当に悩みました。
そこで、出てきたのは、やはり、日本全国の地方財政におきましては、どこを見ても、やはり、国からの補助金に頼り、そして税、そして、ある意味借金と言われる地方債を出し続けていく、こういう構造というのは、もうある意味で、地方財政そのもの自体の制度がこのままでは立ち行かなくなる時代が来るのではないかと、私は思った訳です。
その中で、やはり、私が思いましたのは、もう一度、民間の名で、やはり、知恵を借り、民間がどのような思いでお金を借りているのかということを、政治家も又、行政ももう一度考えなければいけない時代が来たのではないかと私は思った訳でございます。
職業いろいろ広しと言えども、他人様が稼いでくださったお金を使わせていただけるのは、行政と政治家のみでございます。
そういう意味では、もう一度、私は、本当の意味でのお金を稼ぐ厳しさというものの中を、もう一度見なければ、いろいろな施策というのは、なかなかもっても成果を生まないのではないか、その根本の中で、今般、クラウドファンディングというものをぶつけさせていただきました。
ダーウィンの進化論の中で強いものが生き残るのではない。変化できるものだけが生き残るのだということを見た場合には、今般、私も唐突なクラウドファンディングという手法を県当局の方々に投げかけましたけれども、もう一度変わるという意味では、今までと全然違う手法です。きっと、戸惑いも一杯あるかと思います。ですけど、もう一度、その観点から変わらなければならないのだという、議員代表制の議会とこの行政というものの中から、神奈川の新しい芽を結び出したいと、こういうことで質問いたしましたので、お許しをいただきたいという風に思います。
これが一点の要望であり、私の思いであります。

質問要旨

(2) NPOに対する支援としての民間資金の活用について

NPOに対する支援としての民間資金の活用について本県では、NPO法人への寄附促進を図るため、寄附金税額控除の対象となるNPO法人を条例で指定するための基準や手続を定めた条例を2月1日付けで施行するなど、NPOに対する寄附金の活用に力を入れているが、さらに取組を強化するため、クラウドファンディングの仕組みを、NPOの資金集めにも活用すべきである。公的に実施することは難しいが、「やってほしい」というニーズの強いところにこそ、公私の役割分担の観点から、NPOの力を活用すべきである。
NPOが資金を集めやすくなり、さまざまな事業を展開できるようになることによって、新たな雇用が生まれるという効果も期待できる。
そこで、NPO活動に民間資金を導入することに対する県の支援について所見を伺いたい。また、NPOに対する寄附促進のために、クラウドファンディングを活用してはどうかと考えるが、併せて所見を伺いたい。

黒岩知事答弁

NPOに対する支援としての民間資金の活用についてお尋ねがありました。
まず、民間資金の導入に対する県の支援についてであります。
NPOの活動が自立的に継続・発展していくためには、市民がNPOを直接支援する新しい資金の流れが必要と考え、これまで寄附税制の構築など、寄附しやすい環境の整備を進めてまいりました。
また、NPOが寄附を集めるためには、自らの活動を広く知ってもらい、共感と信頼を得ることが不可欠であります。
そのため、県では、NPOの情報発信力強化の取組みを専門家の派遣等により支援するとともに、ウェブサイト等を通じて、県民の皆様にNPOの活動や寄附の意義を理解していただくキャンペーンに取り組んでいるところであります。
さらに、寄附を求めるNPOと寄附をしようとする市民をマッチングする民間主体の取組みも重要と考え、寄附を集めてNPOの活動に助成する「市民ファンド」の立上げに関する支援も始めたところであります。
こうした中、NPOなどが企画した事業に対して広く寄附を募り、資金を提供する、民間のクラウドファンディング・サイトが、すでに幾つか現れてきております。
これらは、民間ならではの高い即応性を活かした資金仲介の仕組みでありますが、市民がNPOに寄附をするための様々な手法や仕組みが用意されることは、寄附がしやすい環境の整備につながるものと考えております。
そこで、今後、民間のクラウドファンディング・サイトとのリンクを含め、寄附を仲介するための情報提供をNPOが主体となって行うウェブサイトの運営について、関係者の皆さんと検討してまいります。

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