神奈川県議会議員 鈴木ひでし 鶴見区選出 公明党

プロボノについて

(1) プロボノを活用したNPO等の団体への支援について

プロボノの活用は徐々に広がりを見せているが、一方で、「米国に比してその規模が小さい。国や自治体からの支援が少なく、個人の活動にとどまる場合が多い。」と指摘されている。
 実際にプロボノが活用される場面では、交通費などの実費はNPO負担の場合が多く、小額の謝礼が伴う場合もある。また、プロボノワーカーとその助けを欲する人達とのマッチングにも経費がかかる。プロボノの仕組みを活用しようとするNPOのような団体等にとって、その負担は決して小さなものではない。

そこで、県内におけるプロボノ活動をより盛んにするため、プロボノ活動に係る経費について、県が支援を行ってはどうかと考えるが、所見を伺いたい。

注)プロボノ…pro bono(英)社会人が仕事上の専門的な知識や経験を提供するボランティア活動とされる。

黒岩知事答弁

プロボノは、社会人が職業上の専門知識や技能を生かす、新たな社会貢献活動として、企業で取り入れられるなど、先進的な取組みとなっています。
 資金や人材不足などの課題を抱えるNPOにとって、プロボノによる支援は、大変意義があり、NPOの自立支援の一つであると認識しています。

プロボノの普及に当たっては、プロボノを求めるNPOと、プロボノを行う人とをマッチングさせるコーディネート機能が重要です。
そこで、県では、平成25年度に「プロボノ・コーディネーター養成講座」をモデル事業として実施し、その後、実際に、受講者によるマッチング事例が生まれるなど、成果をあげてきたところです。
 しかしながら、プロボノの普及には、その活動が十分に認知されていない、従業員を積極的に参加させる企業が少ない、プロボノを求めるNPOの財政的基盤が脆弱であるといった課題があります。

県としては、こうした課題に対応するため、引き続き、NPOや、コーディネート機能を有する団体への情報提供や、活動の場の提供を通して、プロボノの理解や活動が広がるよう、取り組みます。
 また、NPOのプロボノ活動に係る経費への支援については、コーディネート機能を有する団体が人材を派遣する経費を、県が支援をすることで、NPOの負担軽減を図りたいと考えています。
 具体的には、NPOを資金面で支援する「かながわボランタリー活動推進基金21」の「団体成長支援事業」を活用するものです。
 県としては、この基金の活用を、コーディネート機能を有する団体へ周知することで、プロボノが一層普及するよう、努めてまいります。

(2) 県職員のプロボノ活動によるNPO支援について

NPOの中には、従来行政が担うべきと考えられていた分野であっても、行政の手が届きにくかったり、行政が取り組むには時間がかかるような分野を担うなど、行政を補完する重要な役割を果たしているNPOが多いが、その一方で、資金不足、人材不足、情報不足に悩むNPOは少なくない。
 県の退職者が、長年の職員生活の中で培った専門知識や技能を生かし、こうした脆弱なNPOの取組を支援できれば、NPOにとっては専門的知識・技術を得ることができ、職員OBも、退職後の地域社会とのつながりもでき、生きがいを得られるとともに、外で体も動かすことから、未病対策にもなる。

そこで、県庁を退職後も社会貢献したい意欲がある職員の方を登録するなどしておき、その方たちのスキルを、支援を必要とするNPOに活用してもらうといった仕組みを検討してはどうかと考えるが、所見を伺いたい。

黒岩知事答弁

県行政は、保健福祉から教育から産業政策、土木・建築行政に至るまで、県民生活全般に及び、その中で働く県職員は、長い職務経験を通じ、多くの専門知識や技能を身につけています。
 そして、退職後には職務で培った様々なスキルを、社会に活かしたいと考える職員も多いと思います。

退職後の職員のスキルを登録し、NPOでの活動に活かすという議員の提案は、人生100歳時代のライフスタイルとして、退職者の「社会貢献」や「未病対策」にもなる、素晴らしい提案だと思います。
 こうした職務で培った退職者のスキルを、多くのNPOに活用していただくためには、まずは退職者のスキルを登録し、NPOなどに広く情報提供し、両者をつなげる体制が必要となります。 
 そこで、登録制度については、現在、在職中の職員の多彩な特技・資格等を登録し、活用する「いきいき職員データベース」という仕組みがありますので、退職者についても、同様の仕組みを作っていきたいと思います。

次に、情報提供については、既に県民活動サポートセンターに、NPOの組織運営や事業連携などの相談窓口を設置していますので、この窓口が活用できるのではないかと考えています。
 また、両者のつなぎ役であるプロボノのコーディネート機能を有する団体へも情報提供をしていきます。

退職者のスキルを活かすことや、NPOに参加し社会貢献活動を行うことは、退職者、NPOの双方にとって大変有意義なことだと考えますので、制度の導入に向けて準備を進めてまいります。

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