神奈川県議会議員 鈴木ひでし 鶴見区選出 公明党

質問要旨

大規模な液状化が発生すれば、戸建て住宅には不同沈下が生じ、埋設管路にも、多数の損傷が生じる。さらにこのとき、埋立地などの護岸の強度が十分でないと、液状化した地盤が海の方に流れる「側方流動」が生じる。阪神・淡路大震災でも、配管の破損による液化石油ガスの大量漏洩や、橋脚基礎の移動による橋桁の落下被害が発生した。
本県における側方流動の危険性は、04年にも「臨海部の埋立地で、液状化により、地盤が海側に数メートルも動くという側方流動が起こる危険性が高く、石油化学コンビナート施設などが破壊され、流出した石油が炎上する最悪のケースも想定されるため、神奈川県が高圧ガス施設の対策の検討を始めた」と新聞で報じられ、また、中央防災会議でも、東京湾沿岸の臨海コンビナート地帯での被害発生と対策の必要性が指摘されている。このような状況の中、コンビナートに止まらず、臨海部全域の住民の安全を守るためにも、京浜臨海部における液状化、側方流動による被害を最小限に抑える取組みが必要である。
そこで、京浜臨海部ではどのような被害が想定されるのか、また、その場合、どのような応急対策をとられるおつもりか、所見を伺いたい。

松沢知事答弁

まず、京浜臨海部における液状化の被害想定と応急対策についてでありますが、県が行った地震被害想定調査では、神奈川県東部地震が発生した場合、京浜臨海部の被害想定は、液状化や地震に伴う揺れにより、2万7千棟が全半壊し、負傷者は5千2百人と想定しています。
また、ライフラインの被害につきましても、10万7千世帯で断水し、8万4千世帯で停電がおき、5万8千世帯で電話が不通になると想定しております。
そこで液状化対策ですが、まず、事前対策として建物等の施工前に地盤や工法の対策を施すことが有効ですので、構造、材質ごとに対策を示したマニュアルを作成し、啓発に努めているほか、地震被害想定調査結果により液状化の可能性を広く情報提供しております。
また、京浜臨海部特有のコンビナート地区については、平成14年度に実施した安全性に関する調査の結果、議員ご指摘の側方流動により高圧ガス貯槽の配管に影響が出る可能性があることが明らかになりました。
そのため、平成15、16年度に、高圧ガス貯槽の配管の安全性に関する判定手法を開発した上で、平成17年度に「防災アセスメント調査」を実施し、高圧ガス貯槽209基のうち、安全性が確認された206基を除く、3基について、事業者に対して改善の要請を行っております。
次に、液状化を含めた地震発生時の応急対策ですが、何よりも人命救助が重要ですので、被災市町村や自衛隊、県警察と緊密な連携を図りながら、道路や橋りょうの被害状況を勘案し、安全で迅速な迂回路を設定の上、速やかに救出救助部隊を派遣いたします。

また、救援・復旧活動においては、高層マンションなどで建物自体の損傷はなくとも、水道・電気等が被害を受け、飲料水や生活必需品が不足する場合もありますので、ライフライン事業者や防災協定事業者とも連携し、被害状況に応じた応急対策を適宜適切に実施してまいります。

質問要旨

現在の吉野町から関内、花園橋方面までの広大なエリアは埋立てにより造成されている。これらのエリアで液状化が発生すれば、鉄道をはじめとする交通網が寸断され、県が対策本部を立ち上げようにも、職員が参集できないといった事態になりかねない。
県庁舎にしても、建てられているのは埋立地ではなく、昔の砂州の上ではあるが、地盤の液状化の懸念はぬぐいきれない。
そこで、関内地区周辺の液状化による被害予想、及び液状化がおきた場合の、応急活動や県民にとっての必要な業務の継続など、危機管理体制についてどのようにお考えか、所見を伺いたい。
また、いざというときに迅速かつ的確な災害対応をとり、県民の命を守るためにも、側方流動発生の可能性も含め、県庁舎にも何らかの耐震化策を講じておくべきではないかと考えるが、21年度中を目途とした県庁舎のあり方に関する検討について、現在、どのような検討が行われているのか、併せて伺いたい。

松沢知事答弁

まず、京浜臨海部における液状化の被害想定と応急対策についてでありますが、県が行った地震被害想定調査では、神奈川県東部地震が発生した場合、京浜臨海部の被害想定は、液最後に、関内地区周辺の液状化に伴う被害想定と危機管理体制、及び県庁舎のあり方の検討状況についてのお尋ねをいただきました。
まず、関内地区周辺の被害想定ですが、県庁直下を震源とする神奈川県東部地震の場合、海岸や大岡川沿いを中心に液状化が発生する可能性があり、液状化や揺れなどによる被害は、全半壊3,100棟、負傷者740人と想定しています。
県では、震度6弱以上の地震が発生した場合、全職員が予め指定された場所に原則徒歩で参集することとしており、県庁には約3,600名が参集し、そのうち約800名が発生後2時間以内に参集する配備体制を構築しております。
一方、現在策定中の業務継続計画では、非常時優先業務の必要人員は約700名であり、液状化による道路の寸断などで参集する職員がある程度減少しても、災害時の応急活動や継続すべき通常業務に必要最低限の人員を確保できる体制としております。
しかしながら、液状化を含めた災害時の危機管理体制を整えることは大変重要な視点でありますので、今後も配備体制や緊急参集を含めた職員訓練の充実、業務継続計画の周知徹底などに努めてまいります。
次に、耐震化策を含めた、県庁舎のあり方に関する検討状況についてですが、現在、専門的な見地からの調査を委託し、敷地の形状や法的制約、既存庁舎の維持管理上の問題点などを整理しながら、改修方式や費用、老朽化対応策などについて、比較検討を行なっております。
今後は、厳しい財政状況や地方分権改革の進展など、県を取り巻く環境の変化も勘案しながら、県庁舎としての機能を確保していくための再編の方向性について、今年度内に取りまとめてまいります。
また、議員ご指摘の液状化につきましては、幸いにも、県庁舎の地域は安定的な地盤であるとされておりますが、側方流動といった新たな視点もありますので、これによる影響などについて、研究をしてまいりたいと考えております。
私からの答弁は以上でございます。

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